梅雨明けから、突然夏本番で身体が付いていかない感じあります。
夏、というのは湿度が高いせいか、空気が濃密に感じられます。
その分、やっぱり暑さを感じやすいのかもしれません。
最近は「暑さ」も危険になりました。
暑いけれども、読書です。
読書といえば、夏休みの読書感想文の宿題を思い出します。
今でも、すぐ読めるほど短くて感想を書きやすい本を紹介してほしい、という声をよく耳にします。私もそのような人でした。
そこである時、カフカの「変身」を選んだのでしたが、これが難しかった。
何しろ、話が奇想天外。「ある朝、私は虫になっていた」という感じだったと思います。
どんな感想を書けばよいのか?
正直にありえなーい、と言ってしまいたいけれど、そんな感想を書く勇気を持てませんでした。
もっと真面目な、それらしい感想を書かなければいけない、という気がして。
今は、好き勝手な感想を言えるようになって、本当に解放された気分です。
感想文というのは、強制されて書くのはつまらないですね。
文章を読む力、書く力はつくのかもしれませんが、苦手な人は「本」の魅力に気が付かずに
嫌になってしまうのではないでしょうか。
タイトル:「弥勒の月」 あさの あつこ著
2019年1月 光文社 ISBN:9784334744564
久しぶりに時代小説を読みました。この作者は「バッテリー」という作品で知りました。
そのため中高生向きの作家だと思っていました。
作家というものは、どんな題材でも書ける力があるんですね。
プロなんだから、といえばそうなんですが。
それほどこの「弥勒の月」は完成度が高い作品だと思います。謎解きの面白さ、人間描写のすばらしさ、物語がすんなり運ばれていく、構成のすばらしさ。
物語の途中で、時系列を変えることによって、場面転換をして話や人物の背景を説明する、うまい方法だと思うのですが、時によると本筋との関係がわかりにくくなる、というリスクもあると思うのです。けれども、このリスクも上手にクリアして、違和感なく読み通せます。また、エンターテインメントでありながら、人間心理の奥深さも描かれていて、読みごたえも十分です。