長らくご無沙汰しました。
離れている間に、私の身の回りの状況が一変しました。
そうして、本を読めなくなりました。
皆様に読んだ本をご紹介することができなくなりました。
そうなると、
さて何をここで発信するのか、思い悩みました。
それは、長く闇に閉ざされた時間でした。
私にとって「本」は
大切な友達であり、
先生であり、
人生の水先案内人ともいえる大きなものです。
少しづつ、ほんの少しづつ、文章の短いものは、大丈夫。
小説のような身近なお話は、読み進められない。
雑学や家事本は、いけそう。
そんな風に、おっかなびっくりで「本」と向き合いました。
けれども、このようなブログで楽しく紹介するには
荷が重いと感じておりました。
ある時、
自分の中から「ものがたり」が呼び掛けてきました。
自分の気持ちを「ものがたり」にして届けてみたら?
そうして、
その「ものがたり」の情景をお香にしてみたい。
このようにして「ものがたり」ができました。
さみだれ君と薫の
ものがたり はじまり
不思議なことですが、
さみだれ君には雨の降り始めがわかるんです。
湿った暖かい風が吹き始めると
黒雲のやってくる方向へ一目散に走ります。
雲の先端までやってくると
雨の降り初めに出会えます。
そこで、さみだれ君は降り始めた雨音で
スキップをしてダンスを踊るのがとても上手なんです。
薫は、
さみだれ君のダンスが大好きです。
さみだれ君のダンスにあこがれています。
そして薫も雨の気配には、とても敏感です。
薫はいち早く雨の匂いを感じ取れるから。
風に乗って運ばれてくる雨の匂いの方向に駆け出すと
必ず雨に出会えます。
薫はろうそくの灯のように揺蕩い、揺らぎながら
香りの調べを紡ぎだします。
おもしろいことに
この二人は大の仲良しなんです。
雨降りのときにしか出会えないのですが、
二人が揃った雨降りの日には
ほの暗い空間が雨音とダンスと香りで満たされて
それはそれは
素敵な時を演出してくれるのです。