今年は暖冬だった気がします。
そのせいか、どうか、桜の開花がとても早い。
だんだん咲き始めるという、じわじわ春がやってくる、というよりも
忙しなくパパっといくつか咲くと、あとはあれよあれよという間に満開に。
そしてすぐに散り始める…。
季節の移り変わりまで、世の中の動きに同調して早く早く、と言っているようです。
コロナ禍でもあり、ゆっくり立ち止まって眺めているのもためらわれ、そそくさと立ち去る。
ひとり立ち止まると不思議なもので、立ち止まって眺める人が増えていくのです。
そうして知らない人同士、今年の桜は色がどうとか、咲き方が早いの遅いの、
などと会話が始まったりします。
そうした何気ないやり取りが、日常をすこしだけ和やかなものにしてくれると思うのです。
ほんのひと時のふれあい、そんなささやかなことにも気を使う今日このごろです。
なにしろ、みんな会話に飢えているようなところがありますから。
話したい!、聞いて欲しい!
タイトル:「世界の美しいベーカリー デザイン&インテリア」
編者:株式会社 グラフィック社 2020年7月
ISBN:9784766134216
なんとなくタイトルに惹かれて読みました。
パン屋さんといっても、最近は飲食スペースが広くとってあり、
食事まで提供するレストランのようなお店もできています。
逆にお店の看板商品を中心に、絞り込んだものだけ提供するとか。
そうした店舗のデザインをどのように考えて行うべきか、建築家の視点から提言しています。
この本の前に環境に配慮した建築とはどうのようなものか、というものを読んでいたので大変なギャップがありました。
環境ではなくて、言えば受ける店づくりの本ですから。
お店の大小にかかわらず、何を提供するのか、どのようにアピールするのか、多くの人に来店してもらう仕掛け、商品のコンセプトは何か、こうしたことを建築の形・デザインに落とし込んでいく。
商品の魅力だけでは、なかなか生き残っていけないのだと感じました。
今どきは、インスタ映えするお店の外見、内装、商品、雰囲気がとても大事です。
実例写真集ですので、どのお店も大変おしゃれです。美しいです。個性的です。
けれども、商品の写真は少ないので、美味しそうな感じのお店は少なく思いました。
もっと庶民的で見栄えよりも真摯に商品に向き合っているパン屋さんを私は探している。
商品の良さを知ってもらうために、そして一度でも口にしてもらえばリピーターになってもらえる確率が高くなる。だから少しでも多くの人に足を運んでもらいたい。
そのためのお店のディスプレイや雰囲気・デザインがあるとは思うのですが、スキのない空間はかえって近寄りがたいと思ってしまうのは私だけでしょうか。