アストリッドさんの本です。
1978年のドイツ書店協会平和賞を受賞の授賞式での講演原稿を本にしたものです。内容は題名の通りです。児童本作家らしくわかりやすい言葉で明快に暴力の特性とその根源について述べています。
昔から、子どものしつけには鞭が使われてきたということ、そしてそれは「愛の鞭」などと美化され、子どもたちを肉体的にも精神的にも傷つけてきたこと。そうしたことが、暴力の連鎖を生み出している。暴力で人を支配する、国を支配する、社会を支配する、世界を支配する…。
このスピーチの内容は今も色あせない。もしかしたら、より深刻になっているという気すらします。
最近、都営地下鉄の駅には「暴力」に警鐘を鳴らすようなポスターが貼られています。
『人をぶっちゃダメ』とか、毎月文言が違いますが、子どもが書いたと思われる字で。
テレビゲームの架空の世界で戦争ごっこをしていると、現実との境が曖昧になりはしないか、心配です。どんどん刺激的になっていく。そうしないと面白くないから。本当に大丈夫なのでしょうか?
平和って、暴力と違ってとても地味で、爽やかな風のようなものなのかもしれません。誰にも平等に吹いているけれど、なかなか気が付いてもらえない。
タイトル「暴力は絶対だめ!」
アストリッド・リンドグレーン
石井 登志子志 訳
2015年8月 岩波書店