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日常の一コマ 面白かった本

お雛様

 もうすぐひな祭りです。我が家にも小さなお雛様を飾っています。すでに家にあるのに、街で可愛いものを見かけると欲しくなるという、物欲の恐ろしいこと!それにしても大掛かりな段飾りからお内裏様とお雛様の2体のみのものまで、焼き物や人形など素材も種類があって、値段や大きさも様々あって、毎年お金と心を奪われそうになります。

さて、今回はオリンピックの総合プロデューサーの野村萬斎さんのエッセイを読みました。

タイトル:野村萬斎 狂言サイボーグ
野村萬斎著 文春文庫 2013年1月
ISBN:9784167838454
これは2001年12月に日本経済新聞社から出た単行本の文庫化ですので、内容はもっと古くて彼が20歳前後から10年ほどの狂言師として歩み始めたころの様々な体験が綴られています。文化庁の芸術家在外研修制度によりイギリスで研鑽したこと、テレビや映画にも出演しつつ、若手で構成されている「狂言ござる之座」の企画運営など幅広く手掛けていることなど、知らなかったので大変興味深かったです。このような活躍の延長にオリンピックがあるのだと納得した次第です。文章も簡潔でイギリス流にウィットに富んでいて、楽しく読みました。
ただ「狂言ござる之座」のパンフレットのあいさつ文は、それに参加した方には良いけれども、舞台なしのあいさつは気が抜けたサイダーのようです。
芸の道は完璧を求めて果てしないものです。精進し続けて息切れしないのか、と心配になります。
ああでも、短距離走ではなく一生掛けていくので大丈夫なのでしょうか。

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面白かった本

読書で少し旅気分

 このところ泊りがけの旅行に縁遠くなっています。先日のコンサートでは、海外の風をちょっぴり感じて、飛行機に乗ってしまえばすぐに旅情に浸れるのに…と思いました。でも現実はなかなか厳しいです。追い打ちをかけるように、昨今は新型コロナウイルスが活発に活動しています。はやく収束して被害が最小限に収まることを願っています。

下記の本で少し旅とスイーツに心惹かれました。

タイトル「ときどき旅に出るカフェ」
近藤史恵 双葉社
ISBN: 978-4-575-52280-8
2019年11月

主人公の家の近くに小さなカフェがオープンしていました。入ってみると大変居心地の良いカフェで、スイーツも軽食も飲み物も世界各地のものを元の風味を生かしながら日本人好みにアレンジして提供してくれる、まさに夢のように完璧なカフェです。しかもオーナーは主人公の勤務する会社の元同僚です。ご縁満載ですね。各章がスイーツをキーにした物語がミステリー風に展開していく連載読み切り形式で、最後にすべてが明らかになるという趣向です。
世界には私たちが知らない食べ物や飲み物、そしてそれらにまつわる文化があって、知らないうちに常識だと思い込んで疑ったことがない物事は、広い世界では本当に小さなことに過ぎなくて、思い込みという枠を外せば、そこにはさらに広い世界がある、ということが主題にあると思います。
外見や噂でしり込みしてしまうことが多いですが、思い切って体験してみると、意外とすんなりとハードルを越えられるのかもしれません。
何より体験してみて初めて、自分にとって好きか嫌いか、相性が良いか悪いか、判断できるのですね。改めていろいろチャレンジしてみたい、と思った次第です。

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日常の一コマ 美味しい一皿

素敵なコンサートでした!

 2月1日土曜日に南青山の「OVE」というカフェでコンサートがありました。パーカッショニストの永井朋生さんのソロコンサートです。永井さんは、様々な音を求めて、すべて手作りの楽器で演奏されます。時に平べったい石を小石で円を描くようにこすって音を出したり、とにかく文章にはできないコンサートです。自然の音をあえて音楽にしたような、不思議な感覚です。

永井さんは世界のあちこちを旅していらっしゃるので、この日は、旅先の郷土料理を再現したものが饗されました。どこかの国のホームパーティーに招かれたようなあたたかなお料理でした。バイキング形式で、好きなものをお皿に載せていただきましたので、お代わりが難しかったのが心残りです。

私は「音」には人の心を癒す力があるのではないか、と考えています。「言葉」を介してのコミュニケーションとは違って、心の奥に届く不思議な力があると思うのです。そして将来、この「音」を使って心を癒すイベントを企画するのが夢なのです。


「OVE」のアドレスは以下の通りです。
こちらは、自転車や釣りのメーカーである「シマノ」が運営していますので、自転車のある生活を提案しています。そのため自転車関連のイベントが多くあります。そちらもとても面白そうです。
https://www.ove-web.com/minamiAoyama/

永井さんのHPアドレスはこちら

http://tomoonagai.com/profile/

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思うこと 面白かった本

暴力は絶対だめ!

アストリッドさんの本です。

1978年のドイツ書店協会平和賞を受賞の授賞式での講演原稿を本にしたものです。内容は題名の通りです。児童本作家らしくわかりやすい言葉で明快に暴力の特性とその根源について述べています。
昔から、子どものしつけには鞭が使われてきたということ、そしてそれは「愛の鞭」などと美化され、子どもたちを肉体的にも精神的にも傷つけてきたこと。そうしたことが、暴力の連鎖を生み出している。暴力で人を支配する、国を支配する、社会を支配する、世界を支配する…。
このスピーチの内容は今も色あせない。もしかしたら、より深刻になっているという気すらします。
最近、都営地下鉄の駅には「暴力」に警鐘を鳴らすようなポスターが貼られています。
『人をぶっちゃダメ』とか、毎月文言が違いますが、子どもが書いたと思われる字で。

テレビゲームの架空の世界で戦争ごっこをしていると、現実との境が曖昧になりはしないか、心配です。どんどん刺激的になっていく。そうしないと面白くないから。本当に大丈夫なのでしょうか?

平和って、暴力と違ってとても地味で、爽やかな風のようなものなのかもしれません。誰にも平等に吹いているけれど、なかなか気が付いてもらえない。

タイトル「暴力は絶対だめ!」
アストリッド・リンドグレーン
石井 登志子志 訳
2015年8月 岩波書店